HXR-NX3 テスト撮影
XAVC S HD記録を試す
24p・30pモードは余裕の高画質
24p・30pモードは余裕の高画質
このページでは、カメラ本体表示に準じてフレームレートの小数点以下を切り上げて表記します。
HXR-NX3にXAVC S HDフォーマットが追加されましたので、早速テスト撮影を行ってみました。休日のひとときを利用した簡易的な撮影ではありましたが、XAVC S HDの優位性は十分に伝わるものでした。
H.264は優秀なコーデックなので、映像が破綻してもMPEG2のようにモザイク状のブロックノイズだらけになることは少なく、ディテールを丸めて甘くしたような映像になります。AVCHDからXAVC S HDになりビットレートが高くなった結果、映像全体の鮮鋭度が上がったように感じられ、カメラ本来のザラザラとしたノイズ成分も再現されるようになりました。
静止画ではわかりにくいのですが、ご参考程度に撮影映像から抜き出した静止画を掲載します。
刻々と変化する川面の映像はフレーム間の相関が少なく、水しぶきなど細かい絵柄となり、圧縮しにくい例の一つです。AVCHDに比べ、XAVC S HDの映像は細かい波や水しぶきが良好に表現されており、ブロックノイズがほとんど目立たないことがわかります。XAVC S HDの映像も、ディテールが省略されて"のっぺり"とした印象を受けますが、GOP単位で圧縮ノイズがカクカク変化するような嫌な劣化は目立たず、私の尺度では十分実用的だと感じました。
60pの比較映像は、何の変哲もない風景です。AVCHDの映像も、単体で見ている分には特に劣化が気になる印象はありません。しかしXAVC S HDと比較するとディテールが潰れがちであることが分かります。画像6をよく見ると、AVCHDでは水面の波がざっくりと丸められています。また、橋梁下部のやや暗い部分に注目すると、細かいざらつきのようなカメラノイズがXAVC S HDの映像には見られます。それがAVCHDではのっぺりと潰れています。カメラノイズは大切なものではありませんが、ノイズが潰れているということは被写体のディテールも失われていることを意味します。
AVCHDはディテールが失われがちなので、何となくモッサリとした、すっきりしない印象になりがちです。XAVC S HDを使うことですっきりとした映像になり、ありがちな例えでいうところの「窓ガラス越しの風景からガラスを取り去った」映像に感じられます。
ほんの数カットですが、内輪向けにXAVC S HD 24pの画質を評価するためのデモ映像も撮影しました。業務用の有機ELや液晶モニター、プラズマテレビにプロジェクターなどで様々な環境による試写で、概ね十分な品質が得られると判断しました。画質の評価はできませんが、参考までにYouTubeにもその映像をアップしております。
様々な取材の場面に対応できるよう、ワイドコンバージョンレンズを取り付けて使用することも多いかと思います。私も取材対象によってはワイドコンバージョンレンズを常用することも多くありますが、映像の滲みなど解像感の低下は避けられません。今回のテスト撮影は、全てワイドコンバージョンレンズ無しで撮影しています。
機材協力:くつした企画